玄米は体にいいと人気がでてきていますよね。ですが、健康への影響が気になる毒(成分)も含まれていると言われています。
毒!なんて言われると、びっくりして玄米を食べるのを止めようと思ってしまうかもしれませんが、この成分は、ほんのひと手間かけるだけで無毒化できます。
さらに、このひと手間をかけるだけで美味しさもアップ。
玄米を食べるメリットと、毒と言われる成分、その毒を無毒化する方法をご紹介します。
玄米を食べるメリット
玄米は、ぬか層部分などをそぎ落としいない(精米していない)お米です。ぬか層には栄養素や食物繊維が豊富に含まれています。
精米したお米である白米よりもビタミンとミネラル、食物繊維が豊富です。
食物繊維は、ほとんどの日本人に不足していると言われています。
玄米の食物繊維総量は3g(100gあたり)で、白米より約6倍も多く、1日1食だけでも白米から玄米に変えることで不足分を補えると言われています。
日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、低下している現状です。最近の報告によれば平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日あたりの「目標量」は、18~69歳で男性20g以上、女性18g以上となっています[2]。
(中略)
食物繊維は現在、多くの日本人が不足気味ですので、まずは1日あたりプラス3~4gを目標に、積極的に摂取することが勧められる食品成分です。
玄米と白米の栄養価の違いについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せて読んでみてください。
健康への影響が気になる玄米の毒
玄米には毒と呼ばれる成分だけでなく、健康への影響が心配されていることが、いくつかあります。
ここでは、どのような不安があるのか紹介していきます。
アブシジン酸によるガンなどへの不安
玄米の毒と言われているのは、アブシジン酸と呼ばれる成分です。
アブシジン酸は、体内で活性酸素を発生させるため、体を冷やし、ガンやその他の病気になるリスクがあると言われています。
ガンのリスクがあると聞くと、玄米を食べるのが不安になってしまいますよね。ですが、アブシジン酸は減らすことができるので、安心してください。
無毒化の方法については、後程説明しますね。
フィチン酸によるミネラルの吸収率低下への不安
玄米には、ミネラルの吸収を妨げる「フィチン酸」という物質が含まれています。
せっかく白米よりもミネラルを多く含んでいる玄米なのに、その吸収が妨げられてしまうことになります。
ヒ素によるガンなどへの不安
農林水産省が行った食品中のヒ素(総ヒ素、無機ヒ素)についての含有量調査で、玄米・白米ともに含まれる無機ヒ素の含有量が高いことが分かりました。
2015年には、スウェーデンの食品庁が無機ヒ素の含有量を理由にお米の摂取量・回数などについて注意喚起を行い、日本でも話題になりました。
(3)一方、無機ヒ素が一度に、または短い期間に大量に体の中に入った場合は、発熱、下痢、嘔吐、興奮、脱毛などの症状があらわれると報告されています。また、無機ヒ素が長期間にわたって、継続的かつ大量に体の中に入った場合には、皮膚組織の変化やがんの発生などの悪影響があると報告されています。
「え?お米を食べてガンになるなんて、とても信じられないけれど・・・」と思いませんか?
食品安全委員会の見解としても、長年お米を主食としてきた日本で、無機ヒ素による健康被害があったという報告はないという理由から、現状では問題はないとされています。
食品安全委員会は、日本人が食品を通じて摂取するヒ素に関して、「日本において、食品を通じて摂取したヒ素による明らかな健康影響は認められておらず、ヒ素について食品からの摂取の現状に問題があるとは考えていない」、また、「特定の食品に偏らずバランスの良い食生活を心がけることが重要」としています。
引用元:農林水産省-食品に含まれるヒ素の実態調査
現状では問題ないとしてはいますが、「可能な範囲で食品に含まれる量を減らすべき」という国際的に合意にもとづき、お米に含まれるヒ素の低減に向けた取組も行われています。
参考サイト:農林水産省-コメに含まれるヒ素の低減に向けた取組
2017年には、お米の無機ヒ素濃度を抑える遺伝子が発見されたそうです。今後この発見がいかされることで、今より無機ヒ素が少ない品種が開発されることが期待できますね。
参考サイト:農研機構-コメの無機ヒ素濃度を抑える遺伝子OsPCS1を発見
残留農薬への不安
農薬などの残留基準は、毎日一生涯にわたって摂取しても健康に影響がないとされる「1日許容摂取量をもとに厚生労働省によって設定されています。
農薬等の安全性は、物質の分析結果、動物を用いた毒性試験結果等の科学的なデータに基づき、リスク評価機関である食品安全委員会が、食品健康影響評価(リスク評価)を行います。具体的には、各農薬等ごとに、健康への悪影響がないとされる「一日許容摂取量」(ADI)が設定されます。
この結果を受けて、厚生労働省では、薬事・食品衛生審議会において審議・評価し、食品ごとの残留基準を設定します。
引用元:厚生労働省-残留農薬
お米の残留基準は、玄米を基準に設定されているので問題ないと言えます。
ですが、白米は玄米と比べると、食べる段階までにほとんどの残留農薬が除去される(95%が除去)という調査結果があります。
白米を食べているときは、残留農薬をほぼ摂らずに済んでいたのに、玄米では残留農薬のほとんどを摂ってしまうことになります。
玄米を食べる場合は、無農薬で育てられたお米を選ぶことをお勧めします。
- 精米多くの農薬は、ぬか層の部分に残っているので、精米により80%以上除去
- 米とぎ白米部分に残っていた農薬の一部が米粉とともに洗い流され、残留農薬の約91%が除去
- 炊飯白米部分に残っていた農薬の一部が蒸発することで、残留農薬の約95%が除去
精米による農薬の除去率は、多くの農薬(大体80%以上)がぬかの部分に残っていたことから全農薬の平均で83%と高いものでした。すなわち、精米するだけで玄米中に残留していた農薬の80%以上が除去されることが示されました。次に、米とぎでは、白米部分への浸透移行が認められたフェノブカルブ(殺虫剤)、フサライド(殺菌剤)などの一部が米粉と共に洗い流され、ご飯を炊く前の段階で玄米中に残留していた農薬の約91%が除去されてしまうことが分りました。さらに、炊飯では、フェノブカルブなどの揮散等によって、玄米中に残留していた農薬の約95%が除去されました。このように、フェノブカルブなど一部の浸透移行性のある農薬を除けば、精米等によって大部分の農薬が除去され、日常的にはほとんど残留していない部分を食べています。
引用元:愛知県衛生研究所-米(玄米)に残留する農薬の調理による減少
玄米の毒を無毒化する方法
玄米の毒といわれるアブシジン酸は、玄米を水につけて吸水処理することで、無毒化(含まれている量を減らす)ことができるそうです。
吸水処理はアブシジン酸の無毒化以外にも、次のような効果があります。
- ミネラルの吸収を防いでしまうフィチン酸の働きも解消できる
- 玄米の食感が改善でき、美味しく炊くことができる
無毒化させるポイントは吸水時間です。
1)吸水によるフィダーゼの活性化がフィチン酸とミネラルの結合を切断し、吸収を容易にする
2)吸水により発芽準備過程が開始
①保健機能性成分の発現、増加
②アブシジン酸の減少シロイヌナズナの吸水によるアブシジン酸含有量の減少
まとめ
玄米は、ビタミンやミネラル、食物繊維が白米とくらべて豊富なため、健康にいいと言われています。
ですが玄米には、健康への影響が心配になる「毒」と呼ばれる成分などもあります。
- アブシジン酸によるガンなどへの不安
- フィチン酸によるミネラルの吸収率低下への不安
- ヒ素によるガンなどへの不安
- 残留農薬への不安
ですが、安心してください。
20~30°Cの水で12時間以上、しっかり吸水することで、アブシジン酸とフィチン酸のリスクは減らすことができると言われています。吸水することで、玄米の食感も改善でき、美味しく炊けるようにもなります。
玄米・白米とも、無機ヒ素が多いという調査結果がでていますが、食品安全委員会の見解では、お米を主食としてきた日本で、無機ヒ素による健康被害があったという報告はないことから、現状では問題はないとされています。
玄米を選ぶときの注意点は、残留農薬への考慮です。
白米では、食べる段階までにほとんどの残留農薬が除去されるのに対し、玄米では残留農薬のほとんどを摂ってしまうことになります。
玄米を食べる場合は、無農薬で育てられたお米を選ぶことをお勧めします。
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