玄米は白米より「健康にいい」と言われていますよね。
ですが、白米と比べると硬くて食べにくいイメージがあり、わざわざ玄米に変える必要があるのか迷ってしまいませんか?
同じお米なのに玄米のほうが健康にいい理由や、白米と比べて栄養価がどのくらい違うのか、美味しく健康に食べるポイントなどを紹介していきます。
玄米と白米の違い
玄米と白米の違いを説明しながら、
- 玄米とはどういったお米なのか
- 玄米のほうが健康にいいと言われる理由
の2つを紹介していきたいと思います。
精米率の違い
稲の種子であるお米(籾(もみ))は、胚乳(はいにゅう)と呼ばれる部分の周りを、胚芽(はいが)や糠(ぬか)層、籾殻(もみがら)などで覆っています。
種子のぬか層を取り除いているかどうか(精米しているかどうか)で、玄米と白米に分かれます。
具体的には、玄米は籾から籾殻を取り除いたもので、白米は玄米の状態からさらにぬか層なども取り除き、胚乳部分のみにしたものです。
精米(せいまい)という語は、米を精白する事、それによって出来た白米の、二通りの意味で使われる。
1. 玄米の糠層を削り取る工程。「精米」、「精白」または「搗精」(とうせい)という。通常は柔らかい胚芽も一緒に剥がれ落ちる。
2. 1.の工程を経て取り出された胚乳のみの米。「精米」、「精白米」または「白米」という。なお、胚芽を残して糠層のみを削り取った米は「胚芽米」という。
日本国内における玄米及び精米の品質表示について定めた「玄米及び精米品質表示基準」(平成12年3月31日農林水産省告示第515号)第2条では、「精米」を「玄米のぬか層の全部又は一部を取り除いて精白したもの」と定義している[1]。「一部を取り除く」とは、精米の度合いを示す。玄米を0、白米を10割の精米率とし、何割精米しているかで、5分づき米・7分づき米というように区分する。
引用元:Wiki-精米
白米と玄米の色の違いも、精米によるものです。精米している白米は白く、精米していない玄米はベージュになります。
栄養価の違い
白米より玄米のほうが健康にいいと言われる理由の一つが、栄養価の違いです。
ぬか層や胚芽の部分には多くの栄養素が含まれています。
玄米はぬか層や胚芽の部分が残っているので白米より栄養価が高くなります。白米と比べると、特にビタミンとミネラルが豊富です。
- ビタミンEは約12倍
- ビタミンB1は約5倍以上
- ミネラル分のマグネシウムは5倍近く
成分(100g当たり) | 玄米 | 白米 | 単位 | |
エネルギー | 353 | 358 | kcal | |
たんぱく質 | 6.8 | 6.1 | g | |
脂質 | 2.7 | 0.9 | g | |
炭水化物 | 74.3 | 77.6 | g | |
ミネラル | ナトリウム | 1 | 1 | mg |
ミネラル | カリウム | 230 | 89 | mg |
ミネラル | カルシウム | 9 | 5 | mg |
ミネラル | マグネシウム | 110 | 23 | mg |
ミネラル | リン | 290 | 95 | mg |
ミネラル | 鉄 | 2.1 | 0.8 | mg |
ミネラル | 亜鉛 | 1.8 | 1.4 | mg |
ミネラル | 銅 | 0.27 | 0.22 | mg |
ミネラル | マンガン | 2.06 | 0.81 | mg |
ミネラル | ヨウ素 | 微量 | 0 | μg |
ミネラル | セレン | 3 | 2 | μg |
ミネラル | クロム | 0 | 0 | μg |
ミネラル | モリブデン | 65 | 69 | μg |
ビタミン | ビタミンA | 2 | 0 | μg |
ビタミン | ビタミンB1 | 0.41 | 0.08 | mg |
ビタミン | ビタミンB2 | 0.04 | 0.02 | mg |
ビタミン | ビタミンB6 | 0.45 | 0.12 | mg |
ビタミン | ビタミンE | 1.4 | 0.1 | mg |
ビタミン | ナイアシン | 6.3 | 1.2 | mg |
ビタミン | 葉酸 | 27 | 12 | μg |
ビタミン | パントテン酸 | 1.37 | 0.66 | mg |
ビタミン | ビオチン | 6 | 1.4 | μg |
出典:食品成分データベース
例えば、ビタミンB1が不足すると、脚気(かっけ)になる可能性があります。脚気は、かつて国民病のひとつと言われていたそうです。
脚気(かっけ、英: beriberi)は、ビタミン欠乏症の一つであり、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって心不全と末梢神経障害をきたす疾患である。
(中略)
日本では、白米が流行した江戸において疾患が流行したため「江戸患い」と呼ばれた。大正時代には、結核と並ぶ二大国民亡国病と言われた。1910年代にビタミンの不足が原因と判明し治療可能となったが、死者が1千人を下回ったのは1950年代である。その後も1970年代にジャンクフードの偏食によるビタミン欠乏、1990年代に点滴輸液中のビタミン欠乏によって、脚気患者が発生し問題となった。
引用元:Wiki-脚気
江戸時代は、おかずは漬物程度と少なく、たくさんのお米を食べる食生活でした。玄米に近い雑穀米を食べていた地方より、白米を食べていた江戸のほうが脚気になる人が多かったので、「江戸患い」と呼ばれたそうです。
いまは白米以外にも色々な食品を食べている人が多いのでビタミンB1は補えていると言われています。
ですが、ジャンクフードに偏った食生活などをおくると、現代でもビタミンB1不足による脚気になる可能性があります。
朝食や昼食を、おにぎりだけで済ませてしまうことが多い人は、ビタミンやミネラルを補うために玄米のおにぎりを選ぶほういいでしょう。
食物繊維総量の違い
ぬか層には、食物繊維も豊富に含まれています。
食物繊維の量が玄米のほうが多いことも、白米より健康にいいと言われる理由の一つです。玄米の食物繊維総量は3g(100gあたり)で、白米より約6倍も多いです。
成分(100g当たり) | 玄米 | 白米 | 単位 | |
食物繊維 | 水溶性食物繊維 | 0.7 | 微量 | g |
食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 2.3 | 0.5 | g |
食物繊維は、ほとんどの日本人に不足していると言われている食品成分です。
厚生労働省策定の1日あたりの目標量に対し、平均摂取量はその7割程度。1日当たり3~4gほど増やすことを勧められています。
お茶碗1杯が約150gです。1日1食でも白米から玄米に変えることで、食物繊維の摂取量を3g程度増やすことができ、1日の目標量を満たせるようになるかもしれません。
日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、低下している現状です。最近の報告によれば平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日あたりの「目標量」は、18~69歳で男性20g以上、女性18g以上となっています[2]。
(中略)
食物繊維は現在、多くの日本人が不足気味ですので、まずは1日あたりプラス3~4gを目標に、積極的に摂取することが勧められる食品成分です。
食感や味の違い
玄米はぬか層が残っているため、白米と比べると固く、プチプチとした食感があります。
玄米も独特の甘さがありますが、白米のほうが甘く、美味しいと感じる人が多いです。
玄米を健康に美味しく食べるポイント
白米より栄養価の高い玄米ですが、選び方や食べ方によっては、健康によくない影響がでたり、美味しくなかったりすることがあります。
玄米を食べるときの注意点と、健康で美味しく食べるポイントを紹介していきます。
しっかり吸水させる
白米と同じように炊くと、玄米はパサパサになってしまい、美味しくなりません。
また玄米には、健康によくない影響を与えてしまう物質(ミネラルの吸収を低下させてしまう「フィチン酸」と発がん性の懸念がある「アブシジン酸」)が含まれています。
健康によくない影響を与えてしまう物質を減らし、美味しくさせるポイントが、(水につけて玄米に水分を含ませること)吸水です。
長時間の吸水は雑菌を繁殖させ、異臭の原因にもなるため、水は数時間おきに換え、衛生管理に気を付けてください。
しっかり吸水させた玄米は、圧力鍋や玄米炊きに対応している炊飯器で炊きましょう。
最近では玄米炊きに対応している炊飯器もたくさん出てきているので、以前よりも簡単に美味しく炊けるようになっています。お使いの炊飯器に玄米メニューがあるか確認してみてください。
無農薬栽培の玄米を選ぶ
多くの農薬(残留農薬)は、ぬか層の部分に残っています。精米することで、残留農薬の約80%を除去できたという調査結果もあります。
農薬などの残留基準は、毎日一生涯にわたって摂取しても健康に影響がないとされる「1日許容摂取量をもとに厚生労働省によって設定されているので問題ないともいえます。
ですが、白米より玄米のほうが多くの残留農薬を摂ってしまうことになります。
玄米を食べる場合は、無農薬で育てられたお米を選ぶことをお勧めします。
しっかり噛んで食べる
玄米は白米と比べ食物繊維が多いので消化しにくく、消化に時間がかかります。胃腸の弱い方や病気の方は、消化が負担になることもあるので、注意してください。
玄米を食べるときは、よく噛んで食べましょう。よく噛むことで、消化への負担を減らすことができるだけでなく、満腹感を感じ食べすぎを防ぐこともできます。
まとめ
玄米は白米とくらべて、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なため、白米より健康にいいと言われています。
今の食生活でビタミンやミネラル、食物繊維が足りていない不安がある方は、玄米に変えるとメリットがあります。
特に、ほとんどの日本人が不足していると言われている食物繊維は、1日1食玄米に変えることで、1日の不足分を補えそうです。
玄米を食べるときには、次の3つのポイントを意識してください。
- しっかり吸水させる
- 無農薬栽培の玄米を選ぶ
- しっかり噛んで食べる
しっかり吸水させることで(20~30℃の水で12時間以上)、健康への影響が懸念されている「フィチン酸」と「アブシジン酸」のリスクを減らすことができると言われています。
長時間の吸水は雑菌を繁殖させ、異臭の原因にもなるため、水は数時間おきに換え、衛生管理に気を付けてください。
残留農薬の多くは、ぬか層部分に含まれています。精米された白米では、ほとんど除去されるのに対し、玄米ではほとんど残っていることになります。
玄米を食べる場合は、無農薬で育てられたお米を選ぶことをお勧めします。
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