えごま油の効果とは?調理での使い方や注意点、商品の選び方などを紹介

調味料

健康や美容に関心が高い人が取り入れていたり、メディアなどで紹介されることが多い「えごま油」。どんな効果が期待できるのでしょう?

 

また、えごま油の効果を活かすためには、調理方法や商品の選び方にコツがいるようです。
どんな点に気を付けたらいいのかも紹介します。

えごま油とは

えごま(荏胡麻)油とは、シソ科のえごま(大葉とよく似た植物)の種から抽出した油です。商品によってはしそ油と表記されている場合もあります。

胡麻とつきますが、ごま油とは別ものです。

 

馴染みがない方も多いかもしれませんが、江戸時代中期までは盛んに栽培・利用されてきた油でした。江戸時代に菜種油が広まったことから栽培する農家が減ったそうです。

 

菜種油については、こちらで紹介しています。

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岐阜県や福島県など一部の地方ではいまでも伝統食として残っていて、飛騨ではえごまの種をすりつぶして五平餅のタレとして、福島ではすりつぶしたえごまの種を野菜とあえたり、おもちに絡ませて食べたりしています。

 

えごまは、「食べると十年長生きする」ということわざから東北地方では「じゅうねん」と呼ばれ、体の中の悪い油を洗い出してくれるので毎日とるといいとされているそうです。

 

えごま油の特徴

えごま油には、α-リノレン酸が60%以上と他の油と比べて多く含まれていることが特徴です。

 

オメガ3
(α-リノレン酸)
オメガ6
(リノール酸)
オメガ9
(オレイン酸)
その他
えごま油 62.4 15.8 13.5 8.3
コーン油 1.2 55.2 29.8 13.8
オリーブオイル 0.6 7 76 16.4
菜種油 8.5 18.9 64.3 8.3

参考:日清オイリオ-植物油辞典参考

 

α-リノレン酸とは、脂肪酸のオメガ3系の1つです。

最近の研究でオメガ3系には様々な効果があることが分かってきていて、そのオメガ3系を多く含むえごま油にも注目が集まっています。効果の詳細については、後ほど紹介していきます。

 

オメガ3系とは、油を構成する脂肪酸の種類で、不飽和脂肪酸に分類されています。オメガ3系には、α-リノレン酸以外にもEPA、DHAなどがあり、青魚やえごま油、亜麻仁油などに多く含まれています。
体内では作ることができないため、食品からとる必要があります(必須脂肪酸)
オメガ3系については、こちらで紹介しています。
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α-リノレン酸を多く含むため、えごま油は熱に弱く、酸化しやすいという特徴もあります。

えごま油の効果

 

NHKのためしてガッテンでコレステロール対策と紹介されたり、タレントのざわちんさんが1ヵ月5Kgのダイエットに成功したり、美容家の君島十和子さんオススメの食品として紹介されるなど、えごま油はさまざまなメディアで紹介されています。

 

注目される理由が、えごま油に多く含まれるオメガ3系(α-リノレン酸)の効果です。

オメガ3系には、次のような効果が期待できると言われています。

  • 血中の中性脂肪を下げる
  • 血栓の予防
  • 動物性の脂(ラードなど)と比べると太りにくい
  • 糖尿病の予防効果
  • 乳がんや大腸がんなどの予防効果
  • 認知症やうつ病の予防効果

 

血中の中性脂肪を下げるだけでなく、他の油と比べて太りにくかったり、乳がんや認知症などの予防も期待できるなんて、うれしいですよね。
まだまだ研究途中のようなので、今後新しい研究結果が発表されるかもしれません。

 

n-3系脂肪酸には、冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、乳がん、大腸がん、肝がん、加齢黄斑変性症、あるタイプの認知障害やうつ病に対しても予防効果を示す可能性があり、日本人で有効性を示す報告も数多くあるとされています。しかし、明らかな予防効果は認められていないとして、目標量は設定されていません。
引用元:農林水産省-脂質による健康影響-n-3系脂肪酸

調理での使い方、保管方法など

えごま油に多く含まれるオメガ3系は、熱や光に弱く酸化がはやいというデメリットがあります。
調理で利用する場合や、保管する場合には、その点に気を付ける必要があります。

 

調理方法

調理ではドレッシングやマヨネーズなど、火を使わない料理に使うようにしましょう。

 

火を使わない料理となると、使い勝手が悪いですよね。ドレッシング以外の食べ方を調べてみたところ、みなさん次のように工夫して摂られていました。

  • パンにつける
  • パスタにからめる
  • 卵かけごはんにかける
  • 冷たい飲み物に入れる
  • お味噌汁やスープに入れる(食べる直前)

 

熱に弱くはありますが、60℃程度であれば温かい飲み物にいれても大丈夫のようです。
中には、そのままスプーン一杯、直接飲んでいるという方もいらっしゃいました。

保管方法

熱や光に弱いので、冷蔵庫で保管するようにしましょう。

 

酸化しやすいので、開封したらできるだけ早く使いきるようにしましょう。冷蔵庫で保管しても1ヵ月~1ヵ月半を目安に使い切ったほうがいいと言われています。

 

摂取量

オメガ3系の効果がほしいからといって、えごま油だけをとり過ぎるのは危険です。

 

オメガ3系の油を大量に摂取したために、血がサラサラになりすぎ、鼻血が止まらなくなってしまった子供が、ためしてガッテンで紹介されていました。

 

農林水産省のサイトに、1日の摂取量の目安が紹介されています。それによると摂取量の目安は、1.6g~2.4gです。
参考:農林水産省-日本人の食事摂取基準(脂質に関する部分)

 

えごま油はオメガ3系(α-リノレン酸)の含有量が約60%なので、小さじ1杯(4g×0.6=2.4g)で1日の目安量を摂ることができます。

市販の商品の選び方

えごま油の注目度が上がるにつれて、さまざまな商品が発売されています。それに伴い国民生活センターには、「購入した商品は本当にえごま油なのか?」といった相談が急増しているそうです。

 

問合せをうけて国民生活センターで20銘柄の商品を調べたところ、なんと1銘柄で本来の成分構成とは違う油が、えごま油として販売されていたことが分かったそうです。
参考:国民生活センター「見た目だけでは分からない、えごま油」

調査対象商品はこちら

No. 銘柄名 販売者等
1 えごま油 株式会社朝日
2 生搾りえごま油 アルプロン製薬株式会社
3 えごま油 株式会社エス・エス・ビー
4 生搾りえごま油 株式会社LSC
5 えごま油(しそ油) 製造者:太田油脂株式会社
6 生えごま油 販売者:株式会社大山、輸入者:韓国農協インターナショナル株式会社
7 オットギエゴマ油 製造者:オトギ製油株式会社
8 生えごま油 輸入者:オンガネジャパン株式会社
9 カホクのえごま油 製造者:有限会社鹿北製油
10 荏胡麻油 有限会社菅野房吉商店
11 しそ油(えごま油) 販売者:株式会社スギヤマ薬品、製造者:太田油脂株式会社
12 えごま一番100 株式会社創健社
13 香ばしいえごま油 輸入者:株式会社徳山物産
14 えごま油 株式会社トライトーン
15 純エゴマ油100 株式会社バイオセーフ
16 有機えごま油 株式会社ハンズトレーディング
17 エゴマ油 輸入者:株式会社ファイブスター、製造元:スンイン食品
18 黒えごま油 紅花食品株式会社
19 一番搾り荏胡麻油 ボーソー油脂株式会社
20 精選荏胡麻油 輸入者:有限会社昌宏コーポレーション

※No10の「荏胡麻油」が成分構成が違っていました。いまでは販売されていないようです。

 

国民生活センターによると商品の見た目では、えごま油と模造品との違いは分からないそうです。

 

例えば色。No10商品は、他の銘柄と比べ色が違うというわけではなかったそうです。そもそも各商品の色は、ほぼ無色のものから黄色や褐色など、さまざまあったそうです。

 

引用:国民生活センター「見た目だけでは分からない、えごま油」

 

これは製造方法によるもので、えごまの種を焙煎してから油を抽出したり、製造過程で高温処理されたものは、焙煎せずに抽出されたものより褐色が濃くなるそうです。

 

見た目で分からないとしたら、どう判断したらいいのか、困ってしまいますよね。

 

No10商品の口コミなどを調べてみたところ、パッケージの原産地が「中国、離島」と書かれていたり、商品ページが簡素で製造方法などの情報が書かれていなかったようです。

ネット通販などで購入するときには、原産地や製造方法などがきちんと書かれているショップの商品の方が安全といえるでしょう。

 

えごま油は光や熱に弱く、酸化しやすい商品です。

できるだけ熱処理・化学処理されていない製造方法(非加熱しぼり、低温圧搾)で、容器も遮光ビンや遮光できるパッケージ(化粧箱など)に入っているものを選びましょう。

 

国民生活センターの調査でも、焙煎して抽出されたえごま油のほうが、焙煎せずに抽出されたものより酸化しやすいという結果がでていました。

 

また、海外で生産され日本に輸入されている商品よりも国内で製造されているもののほうが、輸送による商品への負担が少なく新鮮だと思います。

 

まとめ

えごま油は、シソ科のえごまの種から抽出した油です。オメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸が60%以上も含まれています。

 

オメガ3系には、次のような効果が期待されています。

  • 血中の中性脂肪を下げる
  • 血栓の予防
  • 動物性の脂(ラードなど)と比べると太りにくい
  • 糖尿病の予防効果
  • 乳がんや大腸がんなどの予防効果
  • 認知症やうつ病の予防効果

 

オメガ3系は、熱や光に弱く、酸化しやすいため、ドレッシングなど火を使わない料理に使うようにし、開封後は冷蔵庫で保管しできるだけ早めにつかいきりましょう。

 

オメガ3系はとり過ぎると血が固まりにくくなるという弊害もあります。1日2g程度(小さじ1杯)を目安にとるようにしましょう。

 

えごま油を選ぶ場合は、次のような点に気を付けるといいでしょう。

  • 非加熱しぼりなど熱処理・化学処理していない製造方法で作られている
  • 遮光ビンや遮光できるパッケージに入っている
  • 国内で製造されている
  • 商品ページや商品パッケージなどで原産地や製造方法などの情報がかかれている

 

オメガ3系については、こちらで詳しく紹介しています。

オメガ3脂肪酸とは?含まれる植物油や効果的な食べ方・摂取量は?
食用油のCMやパッケージで「オメガ3」という言葉を、よく見ませんか? オメガ3は脂肪酸の種類のひとつですが、なぜこんなに話題になっているのでしょう? 注目されている理由や、どのような植物油に含まれているのか、効果的な摂り方などを調べてみました。

 

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