サラダ油が危険なんて嘘でしょ?と戸惑いますよね。
普段のお料理で一番使っているのはサラダ油だし、料理のレシピでもサラダ油と書かれていることが多いのに危険なんて言われてもと思いませんか?
サラダ油が危険と言われている理由と、安心して使える油の見分け方をご紹介します。
サラダ油とは
家庭料理全般で使うことが多いサラダ油ですが、実はサラダに使うことを想定して規格された油です。
サラダは比較的冷たい状態でだされますが、低温だと油によっては固まってしまうため、低温でも固まらないように精製されたものがサラダ油です。
原材料にも決まりがあり、菜種(アブラナ)、綿実、大豆、ごま、紅花(サフラワー)、ひまわり、とうもろこし、米(米ぬか)、落花生から作られているものだけがサラダ油と呼ばれます。
サラダ油が危険と言われる理由
サラダ油が危険と言われるのは、体によくない・危険と言われるものが含まれている(ヘキサン、トランス脂肪酸など)ことと、原材料に遺伝子組み換え作物が使われていることが大きな理由です。
どのように体によくないのか、なぜ含まれてしまうのかなどを調べてみました。
残留溶剤の危険性(ヘキサン)
ヘキサンとは、ノルマルヘキサンとも呼ばれる石油系溶剤です。原材料(例えば菜種や大豆など)から油を抽出するために使われます。
ヘキサンは、思わず顔をしかめてしまうほど「つんとくる強烈なにおい」が特徴で、目に刺激を感じたり、皮膚に赤い湿疹が出ることがあるそうです。
体への急激な影響は少ないようですが、慢性中毒による神経障害がおこることがあるそうです。
④ ヒトへの影響
ヒトへの急性影響の報告は少ないが、眼への刺激や皮膚の発赤が知られている。皮膚への
感作性を否定する報告が 1 つある。1,760 mg/m3(500 ppm)で 3~5 分暴露されても、眼の刺
激症状はみられていない。
本物質は末梢神経をはじめ中枢神経系も障害する。慢性中毒による多発性神経炎発生事例
の報告は多いが、本物質の単独暴露に関する疫学調査はそれほど多くない。
引用元:環境省-化学物質の環境リスク初期評価(平成9~12年度)-n-ヘキサン
ヘキサンは加熱することで簡単に除去できます。製造過程で熱処理することで除去され、精製されたサラダ油には含まれないと言われています。それでも、完全に除去されているのか不安が残ります。
心筋梗塞などの危険性(トランス脂肪酸)
トランス脂肪酸はとりすぎると、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えて、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減るため、心筋梗塞などになるリスクが高くなると言われています。
日本人はとりすぎている状況ではないそうですが、トランス脂肪酸の怖いところは、含まれていることを意識せずに摂っている場合が多いことです。
トランス脂肪酸が含まれている主な食品には、次のようなものがあります。
- 牛肉や羊の肉、牛乳やバターなどの乳製品
- マーガリン、ショートニング。それらを使ってつくるパン、ケーキなど
- サラダ油など精製過程で熱処理された植物油。それらを使った揚げ物など
「サラダ油などを使った揚げ物」には、お惣菜の揚げ物だけではなくスナック菓子、インスタントラーメンなども含まれます。
原材料に「植物油脂」「食用植物油脂」と書かれているものには、ほぼ入っていると思っていいでしょう。
摂取量の基準などは、こちらに記載しています。
骨粗しょう症などの危険性(ジヒドロ型ビタミンK1)
トランス脂肪酸より危険と言われ始めているのが、ジヒドロ型ビタミン K1です。
ジヒドロ型ビタミン K1は、トランス脂肪酸と同時に(副次的に)つくられる物質で、ビタミンK(出血したときに血を固めたり、骨の形成をうながすビタミン)の働きを妨げてしまうため、骨粗しょう症などを引き起こすそうです。
また、トランス脂肪酸が原因と考えられている心筋梗塞なども、ジヒドロ型ビタミン K1が原因の可能性があるとして、研究が進められているようです。
「それがトランス脂肪酸と同時に副生される『ジヒドロ型ビタミンK1』です。心筋梗塞のほか、脳卒中、糖尿病腎症、骨粗しょう症などを引き起こす、人間が人工的に作り出した『最悪の油』です」
認知症などの危険性(ヒドロキシノネナール)
ヒドロキシノネナールは、脳や細胞を死滅させるため、アルツハイマー型認知症の原因の可能性があると脳科学専門医の山嶋哲盛先生によって提唱された物質です。
ヒドロキシノネナールは、サラダ油の主成分であるリノール酸が高温処理されることで発生するそうです。
ヒドロキシノネナールは大事なキーワードです。覚えづらいので正確に暗記しなくても、「ヒドロちゃん」とでも呼んで記憶にとどめておいてください。
ヒドロちゃんは端的にいえば「毒」です。サラダ油の主成分であるリノール酸がセ氏200度前後に加熱されると、ヒドロちゃんは急激に増えます。
これが体内に入ると、まるでドミノ倒しのように細胞膜のリン脂質を酸化し、ついには、神経細胞だけではなくあらゆる臓器の細胞を死に追いやります。
未知の病気の危険性(遺伝子組み換え作物)
遺伝子組み換え作物は、どのような影響が出るか分からないという不安があり、できれば避けたいという方も多いですよね。
サラダ油には遺伝子組み換え食品の表示義務がないため、商品の表記だけでは遺伝子組み換え作物を原材料としているかどうか判断できません。
ですが、値段をみるとおおよその判断がつきます。安いサラダ油には遺伝子組み換え作物が使われている可能性が高いです。
安価なサラダ油の原材料には、価格を抑えるために輸入された菜種が使われています。約9割がカナダ産のキャノーラ品種と言われています。
カナダでは、遺伝子組み換え技術で開発されたキャノーラ品種が主力となっているそうなので、輸入されているものも遺伝子組み換え作物の可能性が高いです。
現在、輸入される搾油用ナタネの約9割は、カナダ産のキャノーラ品種です。カナダでは、遺伝子組み換え技術を利用して開発されたキャノーラ品種が主力となっていますが、輸入されるナタネについて、遺伝子組み換えのものとそうでないものは区別されることなく扱われるため、輸入ナタネには遺伝子組み換えナタネとそうでないものが混じっていることになります。けれども菜種油には遺伝子組み換え食品の表示義務はありませんから、私たちは、それと知らずに口にしていることになります。
引用元:奈良産業大学 – ナタネのはなし
安心して使える油の見分け方
油の抽出方法で見分ける
サラダ油に体に危険な物質が含まれてしまうのは、原材料から油を抽出するためにヘキサンなどの溶剤を使い、それを除去したり脱臭したりするために高熱処理を行うからです。
逆にいえば、溶剤を使わず、高熱処理をできるだけしない精製方法で作られた油は、安心して使える油だと言えます。
油の抽出方法は、大きく3つに分けられています。
抽出方法 | 概要 |
圧搾法 | 原材料に圧力をかけて油を抽出する方法 |
抽出法 | 溶剤を使って原材料から油を抽出する方法 |
圧抽法 | 圧搾法と抽出法を併用する方法 |
圧搾法は、溶剤を使用しないため高熱処理が少ない精製方法なので、体に危険な物質が少なく、安心して使える油だと言えます。
精製方法の違いは、こちらで詳しく説明しています。
原材料の産地で見分ける
遺伝子組み換え作物から抽出されたかどうか見分ける方法として、値段を紹介しましたが、もう1つ見分ける方法があります。
原材料の作物が国産かどうかです。
日本では遺伝子組み換え作物の商業栽培は、行われていないそうです。国産菜種の新品種を開発するときも、遺伝子組み換え技術は使わずに品種改良されてきました。
例えば、原材料に国産菜種を100%使用しているなら、遺伝子組み換え技術が使われていない菜種でつくられていると思って大丈夫です。
まとめ
サラダ油が危険と言われる大きな理由は、次の2つです。
- 体によくない・危険と言われるものが含まれている(ヘキサン、トランス脂肪酸など)
- 原材料に遺伝子組み換え作物が使われている
体に危険なものが含まれてしまう原因は、溶剤を使って油を抽出し、使った溶剤を除去したり脱臭するために高熱で処理するためです。
油の抽出方法は大きく3つに分けられます。
抽出方法 | 概要 |
圧搾法 | 原材料に圧力をかけて油を抽出する方法 |
抽出法 | 溶剤を使って原材料から油を抽出する方法 |
圧抽法 | 圧搾法と抽出法を併用する方法 |
圧搾法は溶剤を使わず、高熱処理も少ないため、体に危険な物質が少なく、安心して使える油といえます。
遺伝子組み換え作物ではない国産の原材料を使い、圧搾法で油を抽出・精製するとコストが高くなります。そのため安いサラダ油では、安心して使える油が少ないというのが実情です。
サラダ油は、サラダに使うことを想定して作られた油です。炒めものや揚げ物でも使うことはできますが、サラダ油にこだわる必要はなく、国産の菜種油なども含めて安心して使用できる油を選ぶことをおすすめします。
例えば、平出油屋の菜種油は、無農薬で栽培された国産の菜種から、圧搾法の一つである玉締め圧搾法という方法で油を抽出しています。絞った油は手すきの和紙でゆっくりろ過し、高熱処理をしていないことが特徴です。
ムソーの国産なたね油は、国産の菜種を圧搾法で抽出した一番搾りの油だけを使用し、お湯で不純物を洗い流す独特の製法で作られています。
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