健康や美容・ダイエットのために酵素を摂る人が増えていますよね。
でも、食品やサプリからでは酵素は摂れないないので、食べても効果は得られないという話もあります。
なぜ効果がないと言われるのか、本当にそうなのか調べてみました。
酵素とは
酵素とは、消化や代謝など私たちが生きていくために必要な活動に関わる栄養素で、ほとんどがタンパク質だと言われています。
体内にある酵素は、次の2つに分けられます。
- 消化酵素:消化するために働く酵素
- 代謝酵素:代謝の促進、治癒や免疫力アップのために働く酵素
酵素は、タンパク質のため熱やph(phの値が大きければアルカリ性、小さければ酸性)の変化に弱いという特徴があり、60度以上になると効果が無くなる(失活)といわれています。
酵素は新鮮な野菜、果物、肉や魚、発酵食品など様々なものに含まれています。熱に弱いためできるだけ生で食べることをすすめられています。
酵素については、こちらで詳しく説明しています。
酵素を食品から摂ったほうがいい理由とは?
食品から酵素を摂ったほうがいいといわれているのは、体内の酵素が少ないと代謝が悪くなり、肌荒れや免疫力の低下、病気の原因になるからです。
一生に使う(作る)ことができる体内の酵素(潜在酵素)の量には上限があり、20代をピークにどんどん減少していきます。
そのため、食品から酵素(食物酵素)を摂ることで、体内酵素の消費を減らす(補う)ことで老化防止などに役立つといわれています。
酵素を食品から摂ることを勧める考え方は、エドワード・ハウエルが提唱した酵素栄養学に基づいている場合が多いです。
酵素栄養学(こうそえいようがく、英: enzyme nutrition)とは、酵素が重要な栄養素だとみなす理論である。エドワード・ハウエルが1946年に専門書[1] を、1980年と1985年に一般向けの著書を出版して知られるようになった。生の食品の摂取を推奨しており、ローフーディズムの主要な根拠のひとつとなっている。
引用元:wiki-酵素栄養学とは
日本では「病気にならない生き方」でミリオンセラーとなった新谷弘実さんや鶴見隆史さんなどが、同じような主張をされています。
酵素栄養学では、消化酵素、代謝酵素のもとになる酵素を潜在酵素と呼び、食品に含まれる酵素を食物酵素と呼んでいます。
一生で作られる潜在酵素の量は決まっていて、年齢とともに減少していくとされています。
消化酵素と代謝酵素は潜在酵素から作られます。
潜在酵素からは消化酵素が優先して作られるようで、消化酵素を使い(作り)すぎると代謝酵素が不足気味になるといわれています。
代謝酵素が減ると代謝が悪くなり、肌が荒れたり、老化が進んだり、病気の原因になったりします。
食物酵素の多い食事をすると、食物酵素が食品の消化を助け、消化酵素の分泌(作る分)を減らすことができ、その分を代謝酵素にまわせることになります。
酵素栄養学を調べると、酵素を食品から摂ることで、効果が得られるように感じます。
酵素を食品から摂っても効果がない理由とは?
食品から酵素を摂っても効果がないといわれているのは、次のような理由からです。
- 酵素栄養学は科学的根拠がない
- 食物酵素を摂っても体内酵素は補えない
- 酵素を補う必要がない
酵素栄養学は科学的根拠がない
エドワード・ハウエルの提唱する酵素栄養学は、科学的に証明されていません。エドワード・ハウエルが考えた仮説でしかないのです。
酵素の作られる量に上限があるのか、そもそも潜在酵素が存在するのかどうかすらわかっていません。
アメリカの食品医薬局(FDA)は、加熱する消化酵素サプリメント販売者に対し、科学的根拠がないとして2003年に警告を行っています。
食物酵素を摂っても体内酵素は補えない
酵素栄養学では、食物酵素が消化酵素の代わりに消化を助けるとしています。
ですが、酵素はタンパク質なので、食事でとったとしても消化(分解)されてしまい酵素のまま体内に取り込むことはできないといわれています。
タンパク質はphの環境(phの値が大きければアルカリ性、小さければ酸性)によって失活します。胃の中の酸性度はph1~2くらいで大抵のタンパク質は失活するそうです。
胃液にはぺプチンというタンパク質を分解する酵素も存在しています。
ペプトンに分解されたタンパク質は、腸でアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。
胃を通過する時点でほとんどの酵素は消化(分解)されてしまい、消化酵素の代わりにはなれないように思えます。
腸まで酵素として届いたとしても、腸で消化されてしまい、酵素のまま体内に取り込むことは、ほぼできないだろうといわれています。
参考:抗老化”酵素健康法”の真偽-摂取した酵素が体内の組織に到着するには
酵素を摂る必要がない
酵素が不足することはないので、そもそも食品から酵素を摂る必要がないという意見もあります。
- 酵素は消化や代謝で使われたとしても減らない
- 酵素は生きるために必要なものなので、必要なときに必要なだけ体内で合成できる
ですが、こちらの意見は根拠が弱いと感じています。
酵素は、消化や代謝を行うための「触媒」といわれています。触媒はその活動を行ったとしても減らないものなので、消化や代謝で使われたとしても、たしかに酵素は減りません。ですが酵素はタンパク質のため、熱やその他の様々な要因により失活し、減ることがあります。
触媒(しょくばい)とは、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう[1]。また、反応によって消費されても、反応の完了と同時に再生し、変化していないように見えるものも触媒とされる。
引用元:wiki-触媒
必要なだけ体内で合成できるとする意見については、今回調べたなかではその根拠となる研究や資料までは見つけることができませんでした。
酵素を摂ることに意味はある?
酵素を食品から摂ったほうがいい理由、とっても効果はないという理由の両方を紹介しました。
では、酵素を食品から摂ることに意味はあるのでしょうか?
私は、意味はあるのではないかと思っています。
・酵素栄養学が正しいと感じる点がある
・酵素栄養学に効果を感じている人もいる
からです。
酵素栄養学が正しいと感じる点がある
酵素栄養学は科学的に証明されていませんが、腑に落ちる点もあります。
例えば、体内酵素が年齢とともに減少していく点。
年をとると新陳代謝はおちますよね。年齢により作られる酵素の量が減り、代謝酵素が減少するので新陳代謝が落ちるというのは、納得できます。
酵素栄養学に効果を感じている人もいる
エドワード・ハウエルが酵素栄養学を提唱したのは1946年です。70年以上たった今も酵素栄養学は研究され、効果を感じている人がいます。最近では、類似の主張をされている新谷弘実さんの健康法に効果を感じている人もいます。
本当に食品から酵素を摂ることに効果がないのであれば、70年以上も研究され続けないのではないでしょうか?
今回調べてみて、酵素栄養学には疑問を感じる点もあります。例えば、食物酵素が消化酵素の助けになるとは思えませんでしたし、体内に酵素が取り込まれるとも思えませんでした。
ですが、タンパク質を調べている中で『アミノ酸まで分解・吸収され、体内で再びタンパク質へ構成される』という記述を目にしました。
食物として摂取したタンパク質は消化の過程でアミノ酸にまで分解され吸収され、体内で再びタンパク質へ構成される。
引用元:wiki-たんぱく質
この記述だけでは、再びタンパク質に構成されたものが酵素になるのかはわかりませんが、もしかしたら、これから新しい発見がされ「食品から酵素が摂れる」という証明がされる日がくるかもしれません。
酵素の効果を期待できる摂り方は?
食品から酵素を摂れるかもしれないとして、どのような方法で摂るのがいいのでしょう?
酵素は色々な食品に含まれていますが、熱に弱いため、生の野菜や果物、発酵食品やサプリなどで摂ることを勧められています。
様々な食品の中でも発酵食品で摂ることが、一番効果を期待できるように思います。
体内に存在する酵素は、3つの方法で作られているそうです。
- 細胞自体が作りだしているもの(潜在酵素)
- 食品から摂り入れるもの(食物酵素)
- 腸内細菌が作り出すもの
体内で働いている酵素の大半は、腸内細菌が作り出しているそうです。
人間の体内で働いている酵素は、現在わかっているもので5000種以上あり、その大半を腸内細菌が作り出しています。つまり、体内で使われている酵素の約3000種は腸内細菌の働きによるもので、残りは細胞自体がつくり出しているものと、食物として外から摂り入れるものとに分かれているのです。
引用元:東洋経済-「死んだ食品」があなたの老化を加速させる!-体内酵素を増やせば、腸は若返る
発酵食品には、たくさんの酵素が含まれています、それは発酵の過程で微生物が酵素を作り出すからです。そして発酵食品には乳酸菌など腸内環境を整える菌もたくさん含まれています。
酵素をたくさん含んだ食べ物として、発酵食品がお勧めです。たとえば、味噌、しょうゆ、酢、塩麹、納豆、ぬか漬け、たくあん、カツオ節、塩辛、くさや、キムチなどを挙げることができます。
食べ物を発酵させるのは、麹菌、酵母菌、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌などの微生物です。こうした微生物の働きで、発酵が促進された食品には、食物酵素が豊富に含まれています。
引用元:東洋経済-「死んだ食品」があなたの老化を加速させる!-体内酵素を増やせば、腸は若返る
発酵食品を食べることで、食品自体に含まれている酵素だけでなく、腸内環境を改善できる乳酸菌なども合わせて摂ることで、腸内細菌が酵素を作る環境を整えることが期待できます。
まとめ
酵素は、消化や代謝などに必要な大切なタンパク質です。
体内で作られる酵素の量には限りがあるとし、食品から摂ることを勧めているのがエドワード・ハウエルが提唱した酵素栄養学です。
一方で、酵素栄養学は科学的に証明されてなく、食事でとった酵素は消化され体内に取り込めないので、食品から摂っても効果は見込めないという意見もあります。
今回調べてみて、酵素栄養学には疑問を感じる点もあります。ですが、70年以上も研究され効果を感じている人もいることから、酵素が多い食品を食べることに、なんらか効果があると感じます。
酵素は野菜や果物にも含まれていますが、発酵食品で摂ることが一番効果を期待できると思います。
体内で働いている酵素の大半は、腸内細菌が作り出しているそうです。
発酵食品には酵素もたくさん含まれています。そのうえ腸内環境を改善できる乳酸菌なども含まれていて、腸内細菌が酵素を作る環境を整える効果が期待できます。
発酵食品といえば、醤油、味噌、漬物が身近ですよね。
ぬか漬けは数切れ食べるだけでも、たくさんの乳酸菌や酵素が含まれるため、手軽に摂るならおすすめですが、家庭で漬けるにはぬか床を用意するのが面倒ですよね。
ぬか床は最初、発酵に必要な微生物が少ないのでぬか床自体を育てる(「捨て漬け」)必要があります。
「樽の味 おばあちゃんの味 熟成ぬか床」は、「樽の味」という「たくあん」を付けた後のぬか床のため「捨て漬け」しなくても、乳酸菌や酵素が豊富な漬物ができます。スタッフの間で「家でおいしいぬか漬けができる」と評判になり、商品化したそうです。
「乳酸菌がいきているマイグルト」は、米と麹を自然発酵させた後、粉末状にフリーズドライした発酵食品のサプリメントです。無農薬・化学肥料不使用で育てられた米を使い、無添加で作られています。酵素はもちろん、生きている乳酸菌やアミノ酸、ミネラル、ビタミンも一緒に摂ることができます。
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