味噌の効果は意外に多い?がん予防や美肌、老化防止など12個を紹介

発酵食品

「味噌の医者殺し」
「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」
「味噌と医者は古い方が良い」

なんて、ことわざや慣用句があるほど、味噌は昔から健康にいいとされてきました。

なんとなく体にいいイメージはあるけれど、具体的な効果は知らなかったりしませんか?

 

調べてみたら、がんなどの病気予防や美肌対策など、本当にたくさんの効果があることが分かりました。

 

特に、味噌と病気予防の関係については、国立がん研究センターや大学の研究機関など色々なところで研究されています。

そして研究結果を見てみると、味噌を摂る効果が高くて、びっくりしました。

 

この記事を読んだら、きっと味噌を摂りたくなりますよ。

胃がんの予防

 

味噌汁を飲む人は胃がんが少ない。

 

国立がん研究センターの平山雄博士(当時 疫学部長)よって、1981年10月に日本癌学会で報告されたものです。

平山雄博士は、26万人の食生活を17年間も追跡調査し、胃がん死亡率と味噌汁の摂取頻度の関係を明らかにしました。

 

その結果、味噌汁を毎日飲む人の胃がん死亡率は、ほとんど飲まない人の約50%と少ないことが分かりました。

 

みその発酵過程で生成される「脂肪酸エチル」が発がん物質の効力を低下させることが、その後の研究で分かっています。

 

国立がん研究センターの「2016年の最新がん統計まとめ」によると、
胃がんは男性が2位、女性が4位と死亡数が多い病気です。

 

味噌汁を毎日飲むだけで、胃がんの発生リスクが半分になるなんて、すごい効果ですね。

 

●2016年の死亡数が多い部位は順に

1位 2位 3位 4位 5位
男性 大腸 肝臓 膵臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸9位
男女計 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸7位

引用元:最新がん統計(2016年)

 

肝臓がんの予防

広島大学原爆放射能医学研究所の伊藤明弘教授と渡辺敦光助教授のグループの研究によると、味噌を与えたマウスは与えないマウスに比べて、肝臓がんの発生率が1/3に減少したそうです。

 

みそは大豆を発酵させた食品ですが、その発酵過程でいろいろなたんぱく質を生成しています。

その中の「フラボノイド」という有効成分が、肝臓がんの発生率の低下に効果があると言われています。

 

肝臓は沈黙の臓器といわれ、病気になったことが分かりにくいと言われています。
病気に気づきにくいからこそ、肝臓にいい食事をとることは大切ですね。

 

乳がんの予防

味噌汁をたくさん飲んでいる人ほど、乳がんになりにくい傾向がみられたそうです。

 

これは、国立がん研究センターで行われた、「大豆・イソフラボンと乳がん発生率の関係」を調べる研究で分かりました。

味噌汁をあまり飲まない人(1日1杯未満の人)と比べると、1日2杯飲む人は26%、1日3杯以上の人は40%も乳がんの発生率が減少していました。

 

乳がんは、女性の5位に入る死亡数の多いがんです。
特に40代の女性では、乳がんによる死亡数が多く占めているそうです。

 

味噌汁を飲んで予防になるなら、ぜひ毎日の食事に取り入れたいですね。

 

女性では、40歳代では乳がん、子宮がん、卵巣がんの死亡が多くを占めるが、高齢になるほどその割合は減少し、消化器系(胃、大腸、肝臓)と肺がんの割合が増加する。
引用元:最新がん統計(2016年)

 

胃潰瘍の予防

胃カメラの検査結果を受けた人に対し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と味噌汁の関係を調査したところ、
まったく飲まない人に比べて、毎日または時々飲んでいる人のほうが病気が少なかったそうです。

 

20歳から60歳までは、毎日味噌汁を飲む人と、飲まない人では特に差はありませんでしたが、60歳以降になると飲んでいる人のほうが胃病にかかりにくい数値が出たそうです。

 

長く味噌汁を飲み続けることで、胃や十二指腸の粘膜が守られ、潰瘍を予防することができるようです。

すぐに効果を感じなくても毎日とり続けることで、年齢を重ねてから味噌の恩恵にあずかれる例ですね。

 

脳卒中の予防

味噌は塩分が高いから飲むのが心配という方も多いかもしれませんが、味噌は血圧を上げないことが最近の研究で分かっています。

 

広島大学の渡邊敦光名誉教授らの研究によると、
味噌の効能として、血圧の上昇を抑制し、なんらかの脳卒中の予防効果があること」が分かっています。

 

味噌由来の食塩を含むエサを食べさせたマウス(味噌群)、同じ量の食塩を含むエサを食べさせたマウス(高食塩群)、塩分を少なくしたエサを食べさせたマウス(低食塩群)を63日間にわたって調査しました。

高食塩群のマウスは脳卒中になりましたが、味噌群のマウスは、低食塩群より脳卒中による死亡率はやや高いものの、それほど差がなかったそうです。

 

研究のきっかけは、「日本人は塩分を多くとっているのに、どうして顕著に血圧が上がらず、長生きなのか」と外国の研究者から投げかけられた疑問からだそう。

日本人は昔から発酵食品を多くとってきています。
その発酵食品に由来する塩分に理由があるのではないかと考えたそうです。

 

味噌の塩分に着目した研究では、共立女子大学家政学部の上原誉士夫教授も
同じ食塩量でも、みそからの摂取は30%の減塩効果
があることを発表しています。

 

減塩効果を生む発酵食品の力ってすごいですね。

 

コレステロールの抑制

 

日本のように常に大豆を食べる習慣のある地域では、血中コレステロールが低いことが知られているそうです。

 

県立姫路工業大学の辻啓介教授は、みその原料となる大豆の研究結果の中で、
大豆油に含まれる不飽和酸であるリノール酸と大豆レシチンには血中コレステロールの上昇を抑える効果がある
と報告しています。

 

この大豆の効果は、味噌に加工されても残っているそうです。

 

味噌に含まれるメラノイジンという成分にも、腸内で余分なコレステロールを吸着して体外に出すというコレステロールの排出効果があるそうです。

メラノイジンには褐色色素がふくまれていて、この成分が味噌独特の褐色をつくりだしています。

 

大豆だけでもコレステロールの抑制効果がありますが、味噌になることでさらに効果的な成分が増えるなんて、うれしいですね。

 

糖尿病の予防

コレステロールの抑制にも効果のあったメラノイジンですが、糖尿病の予防にも効果があると期待されています。

 

例えば、糖分の消化吸収速度を遅くし、食後の血糖値の上昇を抑える働きがあることが、女子栄養大学の五明紀春教授の研究で分かりました。

 

さらに、メラノイジンには膵臓機能を促進し、血糖値を下げるインスリンの分泌を盛んにするとされています。

先ほど紹介した広島大学の渡邊敦光名誉教授の研究でも、味噌の中に血糖値を低下させる物質が発見されたそうです。

 

これからの研究で、効果があることがますます分かるかもしれませんね。

 

美肌効果

  • 味噌汁を飲むと肌の水分量が上がる
  • 味噌汁を飲んだらシミが改善した

 

女性なら誰もが味噌汁を飲みたくなってしまう。
そんな研究結果を報告したのが、東京工科大学の前田憲寿教授です。

 

20代から30代の女性を対象に、1日3食ごとに味噌汁を飲むグループと飲まないグループに分け、2週間調査したそうです。

味噌汁を飲んだグループの肌の水分量は実験前と比べ1.4倍も上がり、飲まなかったグループは下がったそう。

 

大豆を発酵し味噌になる過程で生成される「遊離リノール酸」という成分は、シミ・ソバカスの元になるメラニンの生成を抑えることが分かっています。

1日2杯の味噌汁を4週間飲んで頬のシミが減ったという実験結果も出ているそうです。

 

肌の水分量が上がると、肌のキメが整い、きれいな肌になりますよね。
さらにシミまで消えるなんて、うれしすぎます。

 

老化の防止

体内に過酸化脂質が増えると、血管や細胞などの老化が促進されます。
この過酸化脂質は、活性酸素と脂質が結合することにより生成されます。

 

過酸化脂質とは
中性脂肪やコレステロールなどの脂質が活性酸素によって酸化されたもの。
がんや老化・動脈硬化などを引き起こす。
引用元:過酸化脂質
活性酸素とは
地球をとりまく大気には、約21%の酸素が含まれています。生物はその酸素を利用することで様々な機能を獲得し、生命を維持してきました。酸素の一部は不安定で、多くの物質と反応しやすい活性酸素に変化します。
引用元:活性酸素と酸化ストレス

 

見た目がきれいでも体の中で老化が進んでいたら、ショックですよね。

味噌は、そんな体内の老化を防止する効果があることが、色々な方の研究で分かってきています。

 

例えば、大妻女子大学の加藤博通教授の研究では、次の2つの作用が味噌にあることが分かりました。

  • 活性酵素を抑制(消去)する作用
  • 脂質の酸化防止(過酸化脂質の生成を抑える)する作用

活性酵素、過酸化脂質を抑制できるので、老化を防止できるんですね。

 

この2つ作用は、熟成された味噌のほうが効果が高かったそうです。

発酵の力が老化防止効果を高めるということですね。

 

消化促進

 

大豆は「畑の肉」と言われるほど栄養価の高いたんぱく質を含んでいますが、そのままでは消化吸収されにいくいとされています。

 

その大豆が、味噌の発酵過程で酵素や微生物の働きにより消化吸収されやすい形に分解されるそうです。
発酵の力、すごいですね。

 

味噌の中には消化に使われる酵素もたくさん含まれているため、他の食品の消化吸収を助ける働きもあるそうです。

 

骨粗しょう症対策

骨粗しょう症は、カルシウムが不足することから起こることが多い病気ですが、その対策に味噌汁が効果があると言われています。

 

大豆そのものにもカルシウムが含まれますが、発酵・熟成した味噌にもカルシウムは豊富に含まれています。

 

味噌汁として飲むことで、だしをとる煮干しじゃこ、かつお節にもカルシウムはたくさん含まれています。
具として、お豆腐や海藻などカルシウムの多い食材を入れると、さらにいいですよね。

 

味噌にはカルシウムが豊富だけでなく骨の代謝にも効果があることが分かってきています。

 

実は、骨は成長が終わっても「リモデリング(劣化した骨を壊し(骨吸収)、新しい骨を作る(骨形成))」という代謝を繰り返しています。

骨粗しょう症の骨では、このリモデリングのバランスが崩れ、骨吸収がどんどん進んで骨形成が追い付かない状態です。

 

河村幸雄教授の「味噌の骨粗鬆症予防に関する研究」中央味噌研究所研究報告では、骨粗しょう症モデルマウスを使った調査で、豆味噌に骨吸収を抑える効果が確認されました。

 

毎日、味噌汁を飲むことで骨粗しょう症対策になるなんて、手軽じゃないですか?

 

アレルギー症状の緩和

まだ研究段階ですが、アレルギー症状の緩和にも効果があることが分かってきました。

 

味噌メーカーであるマルコメの味噌研究所では、色々な味噌から100種類の乳酸菌を抽出し、アレルギー症状の緩和に効果があるか実験しました。

その結果「MN45」という乳酸菌が、アレルギー症状の緩和に効果があることが分かったそうです。

 

アトピー性皮膚炎モデルマウスにMN45を添加したエサを投与。82日間飼育して評価する実験を行いました。その結果、顔や耳の炎症が緩和し、耳の組織の肥厚が減少するなど、アトピー症状が緩和されました。

引用元:抗アレルギー作用を持つ味噌由来の耐塩性乳酸菌“MN45”

 

まとめ

毎日味噌を摂ることで、がんの発生を抑えられたり、コレステロールの改善や糖尿病などの生活習慣病対策になったりと、色々な効果があることが分かりました。

 

味噌からとる塩分は、通常の食塩より減塩効果があることも分かりました。

味噌は塩分が心配なのでたくさん飲まないという方にも、安心できる研究結果でしたね。

 

まとめは、こちら。

効果 研究結果など
胃がんの予防 味噌汁を飲む人と飲まない人では胃がんでの死亡率に50%の差
肝臓がんの予防 マウスの実験で肝臓がんの発生率が1/3に減少
乳がんの予防 味噌汁を1日3杯以上飲む人とあまり飲まない人では、乳がんの発生率に40%の差
胃潰瘍の防止 味噌汁を飲む人のほうが飲まない人より胃病が少なかった
脳卒中の予防 マウスの実験で低食塩なみの低発生率
味噌からの摂取は30%減塩
コレステロールの抑制 コレステロールの抑制、対外への排出
糖尿病の予防 血糖値の抑制、低下
美肌効果 味噌汁を飲むと肌の水分量のアップ(1.4倍)、シミの改善
老化の防止 活性酸素の抑制、脂質の酸化防止
消化促進 味噌の元となる大豆や、その他の食品の消化吸収アップ
骨粗しょう症対策 カルシウムが豊富、骨の破壊抑制
アレルギー症状の緩和 「MN45」乳酸菌によるアレルギー症状の緩和

 

味噌料理というと、お味噌汁が一番手軽ですよね。

 

具にお豆腐や海藻などを入れるとカルシウムをよりたくさん摂れますし、野菜をたっぷり入れると食物繊維も摂れ整腸効果も期待できます。

 

食事が欧米化してきたため、お味噌汁を飲む機会が減っているかもしれませんが、この機会に1日1杯でも飲むように心がけてみてはいかがでしょう。

 

 

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