味噌を手作りするのは意外に簡単。初心者でも失敗しにくいレシピを紹介

発酵食品

手作りの味噌って、こんなに美味しいんだ!

お料理教室で出された手作り味噌を食べた時、ちょっと感動しました。

そこから興味をもったのが、自分でも味噌を手作りすること。

「味噌買う家は蔵が建たぬ」ということわざがあるほど、昔は自分の家で作るのが当たり前だった味噌。

簡単に作れるというので、試してみました。

味噌買う家は蔵が建たぬとは
自分の家で作るのが当たり前なので、店で売っているのを買うようではお金が貯まらないという意味

味噌を手作りするメリットは?

手作りのメリットは、次の4つでしょうか。

  • 自分や家族の好みの味に調整できる
  • 材料にこだわれる
  • 酵母や乳酸菌が生きている味噌を食べられる
  • 子供と作れば楽しい思い出ができ、食育にもなる

自分や家族の好みの味に調整できる

家庭の好みの味噌を作れるのが、手作りの一番のメリットだと思います。

味噌の種類なら米味噌、麦味噌、豆味噌。
白味噌、赤味噌など色の違いもありますね。

 

味なら、甘口、辛口、中辛。

辛さ加減は食塩の量にもよりますが、麹歩合によっても変わります。
麹歩合とは、原料の大豆に対する麹の比率です。

塩の分量が同じなら、麹歩合が高いほうが甘口になります。

 

マルカワみそさんのページに甘口、中辛、辛口と味ごとのレシピが載っていたので、材料の分量の違いを見てみました。

材料/味 甘口 中辛 辛口
大豆 1100 1300 1500
2600 2000 1800
750 800 800
麹歩合(麹/大豆) 24歩 15歩 12歩

中辛と辛口は塩の分量は同じですが、麹歩合は中辛15歩、辛口12歩と違います。
甘口と辛口では塩の分量はそれほど変わりませんが、麹歩合は倍も違います。

 

麹歩合をいくつにすると、どんな味になるのか、目安となる数値をこちらの記事で紹介しています。
味を決める時の参考にしてみてください。

味噌にはどんな種類があるの?違いが分かれば好みの味噌が見つかるかも
味噌と言われて、どんな味噌を思い浮かべますか? 信州味噌や麦味噌、京都の白味噌など思い浮かべる味噌は人それぞれ。 たくさんある味噌の種類や、その違いを調べてみました。

 

その他のポイントとしては、塩の分量は大豆の1/2が目安。
麹は大豆と同じかそれ以上にすると、風味豊かな味噌になるそうです。

 

マルカワみそさんのこちらのページで、味、材料の分量、塩分濃度などで各材料の分量を調べることができます。
参考味噌作り 重量計算(麹・大豆・塩)

 

材料にこだわれる

せっかく手作りするなら、使う材料にもこだわりたいですよね。

 

国産の大豆や、有機栽培の大豆。
麹もお気に入りのものがあれば、それを使うのもいいですね。

 

例えば、寺田本家さんの玄米麹の「かむたち」

 

寺田本家さんは、千葉にある造り酒屋です。
無農薬米を使い、昔ながらの製法にこだわり、体にいい日本酒を作られています。

日本酒づくりにとって麹は命。
蔵内に生息している空気中の蔵付き麹菌を採取し、自家培養されています。

酵母や乳酸菌が生きている味噌を食べられる

味噌の作り方には、いまの時代の味噌作りの主流となっている「速醸(そくじょう)法」と、昔ながらの「天然醸造」があります。

 

速醸法は、麹菌の働きが活発になる温度を保てる部屋で仕込んだ味噌を保管し、強制的に発酵を促すことで、1~3ヵ月程度で出荷できるようにした製法です。

発酵促進剤などを入れたり、人工的に添加物を加える場合もあり、殺菌もされるため酵母や乳酸菌が死滅し、大切な栄養分が死んでしまうそうです。

日本の約9割の味噌は、速醸法で作られていると言われています。

 

天然醸造は昔ながらの作り方で、仕込んだ味噌をそのまま保管し、四季の自然な温度変化に任せて麹菌の発酵を待ちます。

味噌によっては、1~3年の熟成期間が必要になります。
味噌の発酵を促すための加熱処理や添加物を加えないため、酵母や乳酸菌が死滅することもありません。

 

手作りする味噌は、天然醸造と同じ方式です。

 

メーカーから味噌を出荷する場合は、これ以上発酵しないために加熱殺菌処理されている場合が多いそうです。

 

これも手作り味噌なら、常温保存から冷蔵庫での保存に変えるだけ。
酵母や乳酸菌の活動はおとなしくなりますが、死滅するわけではありません。

子供と作れば楽しい思い出ができ、食育にもなる

子供と作ることで、家族での楽しい思い出ができるだけでなく、発酵食品を身近に感じることができるでしょう。

 

なにより自分で作ったものは、食べる時のおいしさ、うれしさが違います。
きっと、お味噌好きになってくれますよ。

味噌の手作りに必要な時間や、作る時期などは?

手作り味噌にかかる時間は?

手作り味噌にかかる時間は、材料を仕込む時間と、仕込んだ味噌を熟成させる期間の2つがあります。

 

・仕込み作業にかかる時間

材料を仕込むのは、下準備を含めて2日。

2日間みっちり作業をするわけではないので安心してくださいね。

 

下準備として大豆に十分に水を含ませる必要があり、12時間~18時間くらいが目安なんです。

実際の作業は1日程度です。

 

・味噌の熟成期間

手作り味噌は、夏に仕込んだものなら2~3ヵ月、冬に仕込んだものなら4~5ヵ月で食べられるようになります。

ですが、しっかり熟成させることを考えると、冬仕込みの場合で10ヵ月~1年間くらいをおすすめします。

 

熟成期間は、麹菌が味噌を美味しくしてくれる時間です。
しっかり熟成されたお味噌は、とっても美味しいですよ。

味噌作りの時期はいつがいい?

味噌の仕込みは、一年中いつでもできます。

 

ですが、お味噌屋さんのページをいくつかチェックしてみると、冬(1月下旬~2月)の寒い時期に仕込むのがおすすめのようです

 

理由は、次の3つ。

  • 寒い時期に仕込むと熟成がゆっくり時間をかけて進み、味に深みがでて美味しく仕上がる。
  • 冬は気温が低いので雑菌が繁殖しにくく、カビが生えにくい。
  • 秋に取れた新鮮な大豆や米(麹)を使って仕込むことができる。

 

夏の暑い時期でも味噌の仕込みはできるのですが、気温が高いため最初の発酵が急激なものになってしまい、材料のうまみを引き出せない可能性があるそうです。

 

冬に仕込むとゆっくり発酵が始まり、春から夏にかけての暑さで発酵が進み、秋にかけて気温が下がってくると味噌に味がのってくると言われています。

 

味噌を仕込もうと思い立ったのが、春や夏だったという場合もありますよね。

「冬になるまで待っていたら、きっと忘れてしまうから、いま仕込みたい!」という場合は、仕込んでしまいましょう。

 

冬以外の時期に仕込む場合は、熟成期間を調整すれば大丈夫です。

冬以外に仕込んだ場合の熟成期間の目安は、米五のみそさんのページが分かりやすいと思うので、参考にしてみてください。

参考味噌づくりの時期

味噌の手作りレシピ

初心者でも失敗しにくく、簡単に作れるレシピです。
特別な道具をそろえる必要もないので、手軽に始められると思います。

レシピ

米味噌のレシピになります。

大豆:200g
米麹:200g
粗塩:100g

 

出来上がり分量は約800gで、塩分濃度は12%くらいの味噌ができます。
大豆と米麹の分量が同じ、麹割合が10歩の辛口の味噌です。

辛口のほうがカビが出来にくいので、初心者におすすめです。

 

材料の割合が大豆1:麹1:塩0.5 と分かりやすい比率になっています。
出来上がり分量を増やしたい場合は、この割合を目安に各材料を増やしてください。

 

塩は普通の塩でもつくれますが、今回のレシピでは粗塩を使っています。

 

粗塩は、昔ながらの自然に濃縮する製法で作られた塩で、ミネラルが豊富で体に良いといわれています。

例えば、天日塩の「あまみ」は、火を使わず太陽と風で、土佐の海水をひと月以上かけてゆっくり乾燥させて作られた塩です。

準備する主な道具

・大きめの鍋
・ボウル、またはビニール袋
・保存容器(タッパーなどの容器で大丈夫です)

※作業の途中でザルやお玉なども使います。めん棒があると便利です。

仕込み作業

大豆を戻す

乾燥している大豆を洗い、水に浸して戻します。

 

手のひらで大豆同士をすり合わせるようにして洗います。
大豆は見た目はきれいでも汚れている場合があるので、丁寧に洗ってください。

 

洗い終わったら大きめの鍋に洗った大豆を入れ、たっぷりの水を注ぎ12時間以上浸けてもどします。

冬は大豆が水を吸うのに時間がかかるので18時間以上浸けておきましょう。
大豆が十分にもどっているか心配な時は、大豆を一粒縦に割ってみましょう、芯がなければ大丈夫です。

大豆を煮る

もどした大豆を煮ていきます。
鍋の水が減っていたら、大豆がひたひたになるまで水を足し強火にかけます。

 

煮ているうちに白い泡(アク)が出てくるので、その都度取り除きます。

沸騰直前に弱火にし、大豆が柔らかくなるまで煮ます。(3時間くらい)

 

大豆を親指と小指にはさんでつぶれるくらいが煮あがりの目安です。

煮あがった大豆はザルにあげ、冷ましておきます。

時々おたまでかき混ぜて、こげつかないようにしてください。
お湯が減ってきたら水またはお湯をこまめに足して、大豆が顔を出さないように水の量を調整してください。

塩と麹を混ぜる

塩と麹をまんべんなく混ぜ合わせます。
この作業を「塩きり」といい、混ぜ合わせたものを「塩きり麹」と呼びます。

大豆を煮ている間に作っておきましょう。

このあと塩きり麹と大豆を混ぜ合わせます。
それならと塩と麹と大豆を一度に混ぜてしまいたくなりますが、それでは混ざり方にムラができやすく、味噌が美味しくできません。
塩と麹は必ず先に混ぜておきましょう。

大豆をつぶす

煮えた大豆をボウルまたはビニール袋にいれ、全体的にねっとりしたペースト状になるまで手でつぶします。

手でつぶしていくのが面倒なときは、めん棒やペットボトル、マッシャーを使うと楽につぶせます。
フードプロセッサーを持っている方は、使うと便利です。

大豆と塩きり麹をまぜる

つぶした大豆に塩きり麹を加え、ムラが出来ないように均一に混ぜます。

混ぜ方が甘く、大豆と麹が十分に混ざっていない箇所ができると、その部分だけ腐ってしまいます(熟成ではなくただ腐ってしまいます)。

 

丁寧に丁寧に混ぜてください。
耳たぶ位の柔らかさになるのが、目安です。

大豆は30度以下(手にのせても熱くないくらい)に冷ましてから混ぜてください。
大豆が熱い状態で混ぜると麹菌が大豆の熱により死んでしまいます。

味噌を容器に詰める

団子状に丸め、空気を抜きながらみそ玉をつくり、空気が入らないように容器に詰めてきます。

 

容器に直接みそ玉を入れるのではなく、容器の中にビニール袋をひろげ、その中に空気が入らないようにみそ玉を詰めていきます。

大きな容器に入れる場合はみそ玉を思いっきり投げ入れて、こぶしでギュっと押しつぶすと効果的です。

蓋をして熟成させる

表面を平らにならし、塩(分量外)をまきます。
袋の空気をしっかり抜き、ゴムで止めます。

 

容器の周りをきれいに拭き、蓋をします。
直射日光が当たらない涼しいところで保管(熟成)します。

熟成期間

冬に仕込んだものは4~5ヵ月、夏に仕込んだものは2~3ヵ月で完成です。
できれば、しっかり熟成させたほうが美味しいので、冬仕込みで10ヵ月くらい(夏を超えた後)をおすすめします。

 

味見をするときは、スプーンなどで中心部を掘って食べてみましょう。
好みの味になっていなければ更に熟成を続けてください。

 

好みの味になるまで熟成を続けてかまいませんが、色や風味の面から1年くらいをおすすめします。

 

味噌が熟成(発酵)していく際に、表面にフワフワした白いカビや緑などに変色した味噌カビが発生することがあります。
これらは害はありませんが、風味が損なわれるのでしっかり取り除きましょう。

熟成後の保存方法

好みの熟成になったら冷蔵庫で保管しましょう。

冷蔵庫で保管する際は酸化をして風味が落ちないように、ラップを貼り付けるなど空気にできるだけ触れないようにしましょう。

まとめ

味噌を手作りすると、次のようなメリットがあります。

  • 自分や家族の好みの味に調整できる
  • 材料にこだわれる
  • 酵母や乳酸菌が生きている味噌を食べられる
  • 子供と作れば楽しい思い出ができ、食育にもなる

 

味噌は1年中いつでも仕込めますが、材料の大豆が秋に取れることや熟成の速度を考えると、冬に仕込むのがいいようです。

 

4~5ヵ月間熟成させれば食べれるようになりますが、
しっかり熟成させたほうが美味しいので10ヵ月~1年くらい熟成させることをおすすめします。

 

今回紹介したレシピは、初心者でも失敗しにくい辛口の米味噌です。

 

手順も簡単。
1.大豆をもどす
2,大豆を煮る
3.塩と麹を混ぜて塩きり麹を作る
4.大豆をつぶす
5.大豆と塩きり麹をまぜる
6.容器に詰める
7.熟成させる

 

大豆をつぶして、塩きり麹と混ぜるところが少し力のいる作業ですが、それ以外はとっても簡単です。

特別な道具をそろえる必要はなく、家庭にある道具でできると思うので手軽に作れるのではないでしょうか?

 

家庭で手作りするなら、こだわりたいのが材料。

寺田本家さんの玄米麹の「かむたち」は、無農薬米を原料に天然の麹菌で作られています。味噌作りのほかにも塩麹や甘酒にもつかえます。(秋から春までの季節限定になります)

 

天日塩の「あまみ」は、火を使わず太陽と風で、土佐の海水をひと月以上かけてゆっくり乾燥させて作られたミネラル豊富な粗塩です。

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