味噌と言われて、どんな味噌を思い浮かべますか?
私は少し赤みのある辛口の味噌を思い浮かべました。
みんなで話していると、思い浮かべる味噌は人それぞれ。
「麦味噌は、甘くておいしいよねー」
「京都の白みそもいいよね」
色々な味噌が出てきます。
たくさんある味噌の種類や、その違いを調べてみました。
味噌の種類
味噌は、原料の麹や味、色によって分けられます。
原料による 分類 |
味や色による 分類 |
産地 | |
米味噌 | 甘味噌 | 白 | 近畿各府県と 岡山、広島、山口、香川 |
赤 | 東京 | ||
甘口味噌 | 淡色 | 静岡、九州地方 | |
赤 | 徳島、その他 | ||
辛口味噌 | 淡色 | 関東甲信越、北陸 その他全国的に分布 |
|
赤 | 関東甲信越、東北、北海道、 その他ほぼ全国各地 |
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麦味噌 | 甘口味噌 | 九州、四国、中国地方 | |
辛口味噌 | 九州、四国、中国、関東地方 | ||
豆味噌 | 中京地方(愛知、三重、岐阜) |
この他にも、麹に使った米粒がみえる麹みそというものもあります。
米味噌や麦味噌など2種類以上の味噌や麹を合わせたものは、調合味噌と呼ばれています。
味や色による分類の名称に「甘味噌」と「甘口味噌」と2つ「甘」が付いていて戸惑うかもしれませんが、「甘口みそ」は「甘みそ」と「辛口みそ」の中間の味、市販されている味噌の中辛口タイプと考えてよさそうです。
麹の違い
米味噌
大豆と米麹、塩でつくる味噌です。
「米味噌」と言われることが少ないので違和感があるかもしれませんが、普段「味噌」というときは米味噌を指していることが多いです。
国内で作られる味噌の約80%が米味噌で、産地もほぼ全国に広がっています。
多くの地域で作られていることもあり、味や色の種類も豊富です。
米味噌の中でも多く食べられているのが信州味噌です。
辛口で黄みを帯びた色が特徴の味噌で、国内の味噌出荷量のほぼ半分を占めています。
信州みその特徴は、ほどよい辛さと淡い色合いだ。東京・亀戸の専門店「佐野みそ本店」の佐野正明社長(48)は「扱っている60種類の4分の1が信州みそ。日本中の誰もがおいしいと言ってくれる味」と太鼓判を押す。国内の出荷量に占める割合は46%。圧倒的な存在感を持つ。
引用元:YOMIURI ONLINE
麦味噌
大豆と麦麹、塩でつくる味噌です。
主に九州、四国、中国地方で作られていますが、関東の一部でも作られています。
九州では米が取れにくく、代わりに麦の生産が盛んだったので、麦麹の味噌が作られるようになったそうです。
麦の風味と甘さが特徴で、麦のつぶが残っている味噌も多いです。
豆味噌
大豆と麹、塩でつくる味噌です。
豆味噌と言われてもピンとこない方もいるかもしれません。
豆味噌は、愛知県など東海地方を中心に作られている味噌で、八丁味噌や三州味噌、名古屋味噌などが代表的です。
黒に近いような濃い赤茶色で、濃厚なうまみと少し渋みや苦みを感じる味が特徴です。
これは豆味噌の作り方が関係しています。
東海地方の夏はとても暑く湿度も高いため、米味噌では大豆に含まれる脂肪類が酸化する酸敗という現象が起きやすく、すっぱい味噌になってしまうそうです。
そこで、蒸した大豆に麹菌を直接まぶし、塩をたっぷり使うことで酸敗を防ぐ方法がとられました。
大豆のみで米や麦からくる甘味がないため、渋みや苦みを感じるのかもしれません。
熟成期間も2~3年と長い期間寝かせるため、色が濃くなり水分が少ない固めの味噌になります。
豆味噌には、煮込んでも美味しいという特徴もあります。
米味噌や麦みそは、煮たてると香りや味が落ちてしまいがちです。
豆味噌は煮込んでも香りの変化が少なく、煮込めば煮込むほどおいしくなると言われています。
なので、味噌おでんや味噌煮込みのような料理にもあうんですね。
味や色の違い
味や色は、塩や麹など材料の割合や熟成期間によって変わります。
味の違い
塩を多く入れると辛口になりますが、大豆に対する麹の割合でも変わります。
大豆に対する麹の割合を、麹歩合(こうじぶあい)と呼びます。
麹歩合 = (米麹・麦麹 / 大豆 ) × 10
大豆100gに対して麹が100gなら麹歩合は10歩。
大豆100gに対して麹が150gなら麹歩合は15歩。
麹が多く入っていると、米や麦の甘味や麹の風味が強くでます。
同じ塩の量なら、麹歩合が高い味噌のほうが甘口になります。
米味噌の手作りレシピをいくつか見てみると、甘口と辛口で入れる塩の量はそれほど変わりません。
違うのは麹歩合。
甘口は麹歩合が23~26歩くらい、辛口は10~12くらいとかなり違います。
種類 | 味・色による分類 | 麹歩合の範囲 (一般例) |
塩分(%)の範囲 (一般例) |
主な産地 | |
米味噌 | 甘味噌 | 白 | 15~30(20) | 5~7(5.5) | 近畿各府県と岡山、広島、山口、香川 |
赤 | 12~20(15) | 5~7(5.5) | 東京 | ||
甘口味噌 | 淡色 | 8~15(12) | 7~12(7.0) | 静岡、九州 | |
赤 | 10~15(14) | 11~13(12.0) | 徳島、その他 | ||
辛口味噌 | 淡色 | 5~10(6) | 11~13(12.0) | 関東甲信越、北陸、その他全国的に分布 | |
赤 | 5~10(6) | 11~13(12.5) | 関東甲信越、東北、北海道、その他ほぼ全国各地 | ||
麦味噌 | 甘口味噌 | 15~25(17) | 9~11(10.5) | 九州、四国、中国地方 | |
辛口味噌 | 8~15(10) | 11~13(12.0) | 九州、四国、中国、関東地方 | ||
豆味噌 | (全量) | 10~12(11.0) | 中京地方(愛知、三重、岐阜) |
(出典:「みそ技術ハンドブック」全国みそ技術界会)
味噌を手作りする時には、こちらの麹歩合の数値を参考にすると出来上がりの味がイメージしやすくなると思います。
色の違い
関西白味噌のようなクリーム色と、豆味噌のような黒に近い赤茶。
同じ大豆で作るのに、こんなに色が違うなんて不思議ですよね。
色の違いは、味噌の熟成(発酵)中に起こる「メイラード反応」によって生まれます。
メイラード反応とは、大豆や米、麦などに含まれる糖とアミノ酸が反応して褐色物質(メライジン)を生み出す反応のことです。
味噌の独特の褐色は、メライジンによるものなんですね。
熟成期間が長く発酵が進むと、褐色が濃くなっていきます。
白味噌の熟成期間は3日~5日と短いので、他の味噌に比べて白さを保てています。
熟成期間が短いためカビが発生する心配が少なく、使う塩の量を少なくできるので塩分が低く抑えられるメリットもあります。
通常の米味噌は、大豆の皮はむかず洗います。その後に水でもどして煮て、麹とまぜて熟成させていきます。
煮ることで大豆のアミノ酸が煮汁にでるため、メイラード反応を抑えることができます。
白味噌では、さらに白さを出すために大豆の皮をむきます。
大豆を煮る時にも、何度も煮汁の水を替える味噌屋さんもあるようです。
白味噌は、とても手間がかかっているんですね。
一方の豆味噌は、熟成期間が2年~3年と長く、作り方も大豆を蒸して麹をまぜて熟成させるため、大豆のアミノ酸が煮汁などに出ていくことがありません。
そのためメライジンが多く、濃い褐色になるんですね。
なお、メラノイジンは色だけでなく病気の予防効果などがあるとも言われています。
こちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
味噌の種類は、原料の麹や味、色によって分けられます。
原料の麹で分けると米味噌、麦味噌、豆味噌と主に3つあります。
国内で作られる味噌の約80%は米味噌で、うち半分は信州味噌が占めています。
麦味噌は、九州を中心に作られていて、麦の風味と甘さが特徴です。
豆味噌は、愛知県など東海地方で作られていて、黒に近いような濃い赤茶で、濃厚なうまみと少し渋みを感じる味が特徴です。
代表的なのは、八丁味噌や名古屋味噌です。
味の違いは塩の分量と、大豆に対する麹の割合(麹歩合)によって決まります。
色の違いは、味噌の熟成中に起こる「メイラード反応」によって生まれ、味噌の作り方や熟成期間によって褐色の濃さが変わります。
味噌は、「味噌買う家は蔵が建たぬ」や「手前味噌」ということわざがあるほど、昔は自分の家で作るのが当たり前でした。
味噌作りは実はとても簡単です。
せっかくなので、自分好みの味や色の味噌を手作りしてみませんか?
米味噌の手作りレシピを紹介しているので、参考にしてみてください。
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